2009年1月12日月曜日

護身術に失敗なし

高校時代、私は柔道部でした。

余談になりますが、私の母校は、旧制中学時代の柔道部は何度も
全国制覇 していたのでした。
・・・「寝技の津中」と呼ばれて、高専柔道といった寝技を中心とした
柔道の発祥の地でした。(マニアックな人はご存知かと?)

以前、この高校の柔道部に、あの山下泰裕先生が見学に立ち寄られた
こともあります。ちょうどその頃、私は中学生で山下先生の訪問を見学
に行ったのでした。握手とサインをいただいたのですが、

「なんだ、この辞書は!! 分厚すぎる!」

これは、握手をした時の感触でした。

その分厚い手の平の感触今でも記憶に残っています。ありえない・・・・!
ちなみに、その時のサインは「闘魂」と書かれていました。
(猪木じゃないですよ)


さてさて、閑話休題。


そういう高校ですので、大変熱心な指導の先生がいらっしゃいました。
自宅に柔道場を持っていて、生徒を指導していました。
よく生徒を柔道場に寝起きさせて、合宿なんかさせていたのです。

ある春合宿でのことです。

朝のランニングコースは、山道です。
ごろごろと大小の石の転がったデコボコの上り道、下り道を20分ほど
走ります。

気をつけて走らないと、すぐに足を取られます。

ある友人が、転げてしまいました。石を踏んでしまったようでした。

私は「目に見える石なので避ければ?」と不思議でした。



彼が言うには「よけなくてはと思って、石を見ていたんだよ。
そしたら、そっちに引き寄せられて踏んでしまった」・・・
踏んだと思ったら後は慌ててしまって、



ふむふむ。なるほど。
危ないほうばかりに気を取られていてはだめなんだ--ということの典型
ですね。危険な石だ危険な石だと意識を向けすぎると、見ている石の
ほうに引き寄せられてしまうものです。

石を見るなと言っているのではありませんよ。ます危険な石だということを
認識しなければいけません。そしたら次には、石のないところに目を向ける
ようにすると良いのです。次に移る行動に目を向けないといけないのです。

ここでの山道でのランニングは、バランス感覚養成足腰の鍛錬の意味も
ありますが、その先生のおっしゃるには、状況判断、イレギュラー
対応能力を磨くことだったのです。



護身術でも同じです。
危ないほうにばかり気を取られていると、対応が遅れます。
危険を察知すれば、次にどうするかということに目を向けることがが
大切なのです。

次どうするのかに目を向けるというのは、今回の場合、不安定な石を
見たら石のないところに目を向け、もし石を踏んでしまったら次どう
バランスをとるかに目を向け、それでも転んでしまったら、次どう起き
上がるかに目を向けるのです。



護身術には失敗はないということが言えるのです。


あるのは、今ある状況から次どうするかだけです。


修業は続く!