「パチーン!」
鋭いパンチが見えたような、いや正確には早すぎて見えなかった。
「このサンドバックちょっと硬いな~」
先生の言葉だ
道場に吊られていた大きなサンドバックを叩いたのである。
「隣の柔らかいサンドバックを使え!」
え、硬くて重いサンドバックの方が鍛えられていいんじゃないの?
と私は思った。
先生はニヤリとして
「ちょっと硬いサンドバックを蹴ってみろよ」と私に言った。
ドスーン~ ドスーン~ サンドバックがゆっくり揺れた
「ほら全然だめだろ、そんなんじゃ汗もかかないよ」
その時の私の蹴りは、当てるような蹴りになっていたのでした。
それは硬く重いサンドバックを、弾くように鋭く蹴りだすと、
皮膚から骨にかけて痛いからだった。
さらに弾くように出すと重いサンドバックは揺れないので押し込む
ように蹴り揺らしていたのです。つまり少し遠慮してサンドバックに
当ててから、それから力を入れて押す遅い蹴りになっていたのです。
一方、柔らかいサンドバックは、遠慮なく蹴れるので、力を思い切り
出して蹴ることができる。早いコンピネーションも出せます。
その方がおもしろいので手も抜かないのです。
よく先生は、「巻藁(まきわら)叩いて拳だこつくるより、柔らかい
サンドバック叩いて手首を鍛えろ!人の体は巻藁より柔らかくて
しかも動くんだよ!」と言っていた。
巻藁(まきわら)
・・・木の杭などに藁を巻いて叩く伝統的な空手の練習用具
ちなみにサンドバックの中身は、本当に砂を入れてはいけない。
重みで下の方はコンクリートのようにかちこちになってしまう。
布だけ入れて蹴っていても、だんだん下に詰まってきて重みで
下部がかなり硬くなる。
なので、布、梱包材(発泡スチロール等)、布、梱包材、布と
いうふうに何層にも分けて詰め込んでいく。
すると形が崩れにくく柔らかいまま蹴れのだ。
護身の話ではなかったが、
練習する時の参考にしていただきたい。
そしてこの話には続きがあるのだ。
修業は続く!
2010年6月9日水曜日
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