2007年8月22日水曜日

全国の審査でトレーニング

私の先生は、空手の審査会などで、一度に30人くらいを前に立たせ、
10本くらいの各種付きをするのを見ていきます。

「気合入れて!! 1、2、3、4、5、6、7、8、9,10! 
ハイ次!!」という感じですから、10秒足らずです。
これは、普通に見ていたら、各人の技の上手い下手どころか、何も
わからないままに過ぎてしまうことでしょう。

先生は、あっと言う間に点数をつけていくのですが、本当に細かく
見ているのです。
普通の人は、こんな短時間で、本当にわかるのかと疑ってしまうような
スピードなのです。

私も以前は、代理で全国を審査してまわりましたが、一日中目と(脳)
をフル回転しますので、とても疲れたことを覚えています。

一人一人見ていたのでは、とても間に合いませんから、どのように見て
いくのかというと、5~10人とかたまりで、一度に広く見ていきます。
それから、上手い人と、そうでない人をサーチライトで照らすように、
一瞬でチェックします。これで、ほぼ段や級を決めてしまいます。

これは、目を使って、広い範囲を見る能力である周辺視力と、一度に
多くの情報を記憶する瞬間視の能力をフル回転させる見方です。
何度も繰り返しやっているうちに、その能力は高まってきます。
これは、トレーニングといっしょですね。

護身において、どんな場合でも(危険をいち早く察知する場合、
逃げる場合、身近なものを護身具として手に取る場合など)、
できるだけ、一度に多くの情報を読み取り、瞬時に判断していかなければ
いけません。特に、相手が複数の場合は、なおさらです。

私は審査に臨むとき、自分の眼のトレーニングだと思ってやっている
部分もありましたので、苦になりませんでした。


今でも、国際護身道場SDトルネードの審査では自分のトレーニングに
なるとある意味思ってやってます!


修行は続く

2007年8月9日木曜日

緊張と目

今回は、15年ほど前の地方での空手の審査会での話をしましょう。
当時、芦原先生は全国を回って昇級昇段審査を行っていました。


駅で出迎えてくださった方々は、ふだん審査会でしか芦原先生とお会いし
ませんので、皆さん緊張されてとても固い表情でした。中でも、運転を任
された若者は、初めて芦原先生を助手席に乗せて本当にガチガチに緊張
していました。

先生は車に乗り込むと、運転手と話を始めました。(先生のほうがほとんど
一方的にしゃべるのですが)。そして、運転手は先生の話を聞きながら車を
発進させました。

すると、「オオー」と後ろから悲鳴に似た声が聞こえました。後ろの席で、
まだ車に乗ろうとしていた人が片足を車内に突っ込んだままだったのです。
即座に先生のかん高い「止めろ!」の一言が響き、間一髪のところ車は
止まり、けが人もありませんでした。


そのときの運転手の目は、かなり視野の狭い状態(近い間合いを見ている
状態)でした。


これは、極限の緊張から、視野が狭くなり、いつも普通にできるはずの
手続き、思考ができなくなってしまったのでした。


人間の目は、一つのことに集中すると、他のものは見えにくくなります。
特に緊張しすぎると、一つのものにとらわれてしまいがちですので、
逆に、目をそむけ、焦点を遠くに持っていくことで、緊張が和らぎ、
視野を広げることもできます。

もちろん、ある程度緊張することも大切なことで、危機的状況において
リラックスしすぎても困ります。

また、心と目(体)はつながっているということにも気付いて
いただけたでしょう?

今回の話は、一つのことに集中する目と、遠くのものを一度に
広く浅く見る目を、時と場合により使い分ける必要があるという
ことにつながります。


さて、次回は先生の目の使い方についてお話しましょう。



修行は続く

2007年8月2日木曜日

夜の散歩(闇夜の目)

芦原先生と夜の町を歩いているときでした。「助けてー」という女性
の甲高い声が聞こえてきたので近づいていくと男が殴られていました。

先生がすぐさま視線を送って来て、「レッツゴー」の合図をしました。
その時、何も考えずすぐ飛び出そうとした私を、ちょっと待てと先生
が止めました。

まず、よく見てから行けということでした。周りの状
況はどうか、相手が刃物を持っていないか、仲間はいるか。


先生の「お前ら、やめい!」の声にも男はひるまず、殴リ続けてい
たので、女性はさらに助けを求めてきました。


私は、先生の指示通り、状況に問題がないことを確認して、
行動に移りました。すぐさま相手の後ろから殴っている男の腕をとり、
制圧しました。


芦原先生に、不用意に近づくことの危険性を教えていただいた一件で
した。


ちなみに、良く見ると殴られていた人は、チンピラで、助けを求めて
いた女性はチンピラの彼女だったのでした。そこまでは見抜けなかっ
たな・・・


こんなエピソードを書籍『護身革命』のコラムで、いくつか紹介
してますよ!