2008年12月30日火曜日

イザ!サメ退治

今日は、松山での職員時代の思い出を書こうと思います。

ある初夏のことです。
どんよりと空は曇り、今にも雨が降りそうな日のことでした。

3階から先生降りてきて、「おーい照尾」と呼んでいます。
手には馬鹿でっかい弓矢。身長よりも大きな牛を射止める頑丈なもの
です。

「引いてみろ」

普通の人では引けないでしょう。私も身体全体を使って、渾身の力で
引きました。

「お、お前すごいな」

ちょっと先生はうれしそうです。
「よし、じゃあ、行くぞ!」

「い、行くってどこ?」
いつものことです。行く場所や目的は告げられないまま、弓矢を手に、
出発しました。
私は、言われるがままに運転しました。
到着したのは、先生のクルーザーが置いてあるマリーナでした。
いぶかしげにしている私に先生は、おっしゃいました。

「サメ退治だよ。サメ退治!」

! 当時、瀬戸内海では、サメが漁師や潜水夫を襲うという事件が
多発していました。
ニュースでも話題になっていた頃のことです。

先生の気まぐれで、こういうことはよくあることですが・・・。
でも、弓は無理だろ? と思いつつ弓矢を持って船に乗り込みました。

そのときの海は、数箇所サメ用のワナも仕掛けられており、物々しい
雰囲気でした。先生の指示で船を走らせていると、特有のサメの背びれ
が見えました。そして、水紋も。
「いたぞー。代われ」と先生に言われて、先生が船の運転に代わり、
弓を持たされました。
え、俺がやるの??

「照尾、サメを狙うときに、どこ狙う?」
ちょっと考えてから、私は「見えてるところの真ん中を狙って打ちます」
と答えました。
「それじゃ当たらないよ。サメの進行方向や移動スピード、矢のスピード
などを予測して、打たないとだめだよ。」

なるほど。
し、しかし、一度も打ったことのない弓矢をどう予測したらいいのか・・・。
矢は2本しかなく、曇り空はどんより重い。
もし、サメが寄ってきたら、転覆だよ。

結局、サメを船で追えるはずもなく、サメはすぐに逃げていったのでした。
ちょっと悔しそうな先生でした。

そもそも、陸で使うものを海に持っていっても、すぐには役に立たない
ことはわかっていましたが、そうした中で、タイミングを予測することの
重要性を教えてもらったような気がします。

結果的には一度も矢は放たれず、サメも無事。
船も転覆せずなによりでした。
今となっては、あれは、サメだったのかイルカだったのかすら確信が
持てないのですが・・・・。

たぶんイルカだったと思うのですが、先生はサメと言ってました・・・・
なのでサメです!


修業は続く!

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